こんにちは、上田です。最近、学校の授業が英語での講義になったり、職場に外国人が一緒に働いていて、会議や打ち合わせで日常的に英語を使う機会が増えてきた方も少なくないと思います。
学校で英会話に必要な英単語や文法の知識をしっかりと身につけて、英検やTOEICの試験で高得点の成果をあげていても、いざ実践で英語を使うとなるとなかなか思うようにいかなかった経験もあるのではないでしょうか。
僕も高校を卒業後、専門学校で2年間英語をしっかり勉強してからアメリカに留学しましたが、最初は「あんなに勉強したのにさっぱり通じないし、そもそも何を言っているのか全く分からない」という苦い思いをしました。
半年程経って、ようやくある程度の会話ができるようになり、相手に一生懸命に伝えたい事を話すのですが、ずっと難しそうな顔をされて「それで結局、何をして欲しいんだ」と言われ、通じてないのかなぁと自信を無くすこともしばしば。
英会話ができる、できない以前に、そもそもコミュニケーションが上手く取れないと、こちらの意思が上手く伝わらず、逆に誤解されたりした苦い経験も多々してきました。
その様な経験から分かった事は、日本人と欧米人とでは根本的にコミュニケーションの仕方に大きな違いがあるという事です。
そこで、このブログではもっと欧米の方と上手くコミュニケーションを取りたい、また外国人の方との仕事を円滑にしたいと思っている方のために必要な3つのコツ、
・自分の意思ははっきりと伝える
・結論や意見を最初に伝えておく
・内容を論理的に簡単な短いフレーズで話す
の3点について、詳しくご紹介します。
自分の意思ははっきりと伝える
日本はほぼ単一民族の国で、生活習慣や文化も共有してきた歴史的背景があります。
ですから、細部まで伝えなくても「あうんの呼吸」で察してもらって、意思が伝わる事がよくあります。
むしろ露骨にはっきりと言うより、曖昧な表現で遠慮しがちに話しておき、相手に悟ってもらう方が礼儀正しいという考え方もありますが、これは日本人だけの感覚です。
しかし、外国人とコミュニケーションを取る際に、日本的な曖昧な表現で話をすると誤解を招くことがあります。
例えば、よく海外の方は日本人の「一度検討しておきます」の意味が理解できないといいます。
彼らは「返事があると期待して待っていても何の連絡もない」というのですが、実際に日本人の検討しますは、相手の立場を思って一旦受け止めているだけで、検討する気はほとんどないので「NO」と言ってるのと同じ意味だと教えてあげると驚かれます。
また、値段交渉をするときも「もう少し安くなりませんか」と日本人は言いますが、欧米では「もう少し」の金額が明確でないため、「あなたは幾らだったら買うのか?」と逆に聞かれたりします。
海外では、買いたい値段をハッキリと伝えて、それに対してイエスかノーの返事を得るという交渉の仕方をしますので、売り手が買い手の満足するような値段を察する事はあまりありません。
何故なら欧米は世界中から移民を受け入れたりして、常に文化も生活様式も異なる相手と意思疎通を図っていますので、考え方や価値観がマチマチだからです。
僕の留学経験でも、あるレストランで「コーヒーはいかがですか?」と聞かれ、食事中はいらないので「ノーサンキュー」とだけ答えたら、その後ずっと出てこなかった事が何度かありました。
食後にもう一度聞いてくれればと思うのですが、アメリカではコーヒーは食後に限らず随時飲むとう習慣なのです。
この場合は「今はいらないが、食後に飲む」とはっきりと伝えておくべきだったんですね。
英語で会話をする場合は、欧米人の感覚に合わせて遠慮なくストレートに意思表示する方がスムーズにいく事を幾度なく経験してきました。
「好き」か「嫌い」か、「いる」か「いらないか」、「やる」か「やらないか」をハッキリ言う事は英語では決して失礼な感覚ではないのです。
結論や意見を最初に伝えておく
アメリカの大学に入学してまず最初にスピーチの授業を必須科目として習得させられます。
その理由は、授業中に頻繁に質問や感想を求めらえるのですが、発言を論理的かつ完結に話さないと焦点がボケて教授も対応できず、他の生徒も白けてしまうからです。
たまにその様な人がいますよね。何を質問したいのかはっきりせず、ダラダラと自分の意見を述べる人。
このスピーチの授業では「英語で自分の考えを伝えるための基本ルール」を一番最初に徹底的に教わります。
それは次の通りです。
ルール①:結論を述べる
ルール②:理由を3つ挙げる
ルール③:結論を繰り返してまとめる。
どこかで聞いたことがある、と思った方もいらっしゃるでしょう。
英文で論文を書く時も同じルールです。プレゼンテーションをする際もこのルールを使いますので、論理的な思考で何かを伝える際の基本中の基本です。
欧米人との会話、特にビジネスでの会話は非常にこの論理性を求められます。
交渉事などの会話をスムーズにするためには、最初に自分の考え、意思、意見など結論を簡易な言葉で短く明確に伝えておきます。
そして後からその理由を詳しく説明すると、焦点がはっきりして、相手も理解しやすいのです。
例えば「今回の提案はお断りします。何故なら●●●が懸念されるからです」といった感じです。
ところが日本では、作文やスピーチは「起承転結」で構成する事を学びます。
最初に経緯や理由を説明して「色々と検討しましたが、●●が懸念されるという意見がありましたので、今回の件はお断りさせて頂きます」と最後に結論を伝える話し方になります。
まだ良い話の場合は最初に結論を伝える事もありますが、断ったり、クレームをつけたりする場合は、いきなりその事を伝えるのに躊躇する事がよくあります。
また、日本人は直接的な言い方は相手を攻めるようで険悪な雰囲気になりかねないので、クレームでも遠回しにやんわりと言う傾向があります。
例えば、「先週納品された商品ですが、何個か使っている中に汚れているのが混じっている事が分かりまして、半分は使ってしまったのですが、このまま使えない訳でもないですが、得意先からクレームになる可能性もあって、上司からも一度連絡するようにと言われて、そこでご相談の電話をしたのですが・・・」
と色々経緯を述べた後で、結局「交換したいのか、返品して全額返金してほしいのか」ハッキリとせず、「ではどうさせて頂きましょうか?交換しましょうか?」と尋ねさせる事がよくある日本的会話です。
欧米人とのコミュニケーションでは、この様な話し方をすると、結局何が言いたいのか意図が分からなくなり、「このまま使えるくらいなら返品しなくてもいいのでは」と誤解されて、受け入れてもらえる事も断られる可能性があります。
特に英語を母国語としない日本人が長文でダラダラと説明すると、意味不明な英語になりより一層相手が混乱してしまいます。
欧米人と会話をする際はハッキリと「要望を短い言葉」で伝えておいて、そのあとに、理由を簡潔にまとめて説明し、最後に念を押す流れで「要望事項」をもう一度言っておくのが普通の感覚です。
恐らく、この様に論理的な構成が好まれるのは、英語の文法が主語の後に直ぐ動詞が来る構成になっている事も影響しているのかも知れません。
ただ知識として「結論を先に伝えた方がいい」と理解していても、頭の中で日本語から英語に変換作業をしていると、日本的な感覚でしゃべってしまいますので、中々難しいものです。
「英語を話す際は常に結論から」と癖づけた方が良いですね。
内容を論理的に簡単な短いフレーズで伝える
「日常会話」は簡単な英語でもいいが、ビジネスで使う英語は専門的で高尚な言葉を使わないと失礼ではないかと思い込んでいる方もいるかもしれません。
そこでつい難しい単語や複雑な構文を話そうとしてしまいます。
また日本人の話し方の特長として、「~ですが、」「~ですので、」などの接続詞でつなげて長文にして話す傾向があります。
日本語感覚で英語を話してしまうと、ダラダラとつながった長文の英語になってしまい、全体的に何を伝えたいのかが分らなくなります。
ところが実際に欧米の人が話すビジネス英語は、かなり日常会話に近い感覚で、端的に短く、しかも簡単な言葉で区切って話しています。アメリカ大統領の演説もそんな感じです。
ビジネスでは「要件や意思を伝える」事を重要視していますので、「簡単な短い言葉」で話す方が目的に合っているのです。
例えば、「会社を買収する」という交渉を英語でするとします。
買収には "acquisition"という専門用語がありますが、使いなれていなかったり、発音も定かでなければ、無理に使うとかえって伝わらない事があります。
その場合は専門用語を使わなくても”buy"を使って、「I want to buy the company」でも充分なのです。
すなわち、肉を買うのも会社を買うのも「買いたい」という意思が十分に伝わって、値段交渉ができればいいわけです。
ビジネスで求められるのは「専門的な高尚な言葉」ではなく、論理的な分かりやすさです。
そして何度も繰り返しますが「正しく伝わる事」がなによりも重要になります。
短くて簡単な単語を使った文章を一言、一言丁寧に伝えていく方が、長文をダラダラ話すよりも確実に伝わるのです。
どうしても日本人の多くは受験英語で複雑な構文や難しい慣用句を学んでますので、ついそれを使いたくなります。
また「効果的な、実践的な、画期的な、先進的な・・・」といった誇張表現の形容詞も良く使いたくなります。
この手の形容詞を英語で使い過ぎると「印象」が先走って「事実」が見えにくくなることがあります。
その結果「何を伝えたいか」の要点がボケてしまう訳ですね。
ビジネス英語でも、無理をして難しい言葉を使うのでなく、片言の日本語を話す外国人の様な話し方をする事をお勧めします。
「スミマセン、道を教えてください。私は東京駅に行きたいです。どの電車に乗ればよいですか?」と幼稚園児のように短くて簡単な言葉でも伝われば十分なのです。
その方が自分にとっても話しやすく、相手にとっても分かりやすい英語になります。
見栄えや恰好は気にせずに「分かりやすく伝わる英語を短く刻んで話す」という事を常に心がけてみてください。
まとめ
英語でのコミュニケーション能力を高めるためには、学校で学んだ英語の知識とは別に、英語圏の人々の思考回路や慣習を理解する必要があります。
お互いの誤解を生まずスムーズに会話ができるコツとして次の3点をご紹介しました。
一つは「欧米人は空気を読まないので、遠慮なくストレートに意思表示する」という事です。
二つ目は英語圏の方は論理的な説明が好まれますので、「最初に自分の考え、意思、意見など結論を簡易な言葉で短く明確に伝えておき、後からその理由を詳しく説明する」という事。
そして最後は「恰好や格式にとらわれず、分かりやすく伝わる事を重点に言葉を短く刻んで話す」という事です。
是非一度、これまで学んだ英語から頭を切り替えて、伝わる英語を意識したコミュニケーションを図ってみてください。